「松尾さん、次に流行るスポーツって何だと思いますか?」
スポーツイベントの仕事をしていると、こう聞かれることが本当に多い。自分はこの仕事を始めてもう25年。たしかに色んな競技に関わってきたし、流行の移り変わりも肌で感じてきた。けど、正直なところ、これまでは「うーん、分かんないっすね」としか答えられなかった。
なぜか?
スポーツの流行って、単純なルールや面白さだけじゃなくて、時代の空気感とか、社会背景にも左右される。予測が難しいのだ。
けど、最近になって、ようやく「次に流行るスポーツとは何か?」という問いに対して、自分なりの仮説が見えてきた。
これまでの「流行の歴史」をざっくり振り返る
たとえば、2000年以降の流行をざっくり並べてみると、こんな感じになる。
- 2000年代前半:フットサル
- 2010年前後:バスケットボール(ストリート系や3on3含む)
- 2010年代中盤〜:マラソン・ランニングブーム
- 2020年前後〜:ヨガ・ピラティス
もちろん、地域差や年齢層によって多少のズレはあるけど、なんとなくこんな流れだった。どれも「競技性」と「参加のしやすさ」を絶妙に兼ね備えていて、しかも仲間と一緒に楽しめるものが多い。
でも今、次の時代の“流行”はちょっと違うベクトルに進んでる気がしてる。
「みんなが主役になれるスポーツ」こそ、次の主流になる?
ここ最近、いろんなイベントや体験型企画を通して、ある傾向が見えてきた。
それは、**“経験者が有利になりすぎないスポーツ”**がじわじわ人気を集めている、ということ。
たとえば、野球とかサッカーとか、バスケなんかは、どうしても経験者と未経験者の差が出やすい。経験者は華麗なプレーができるし、それは見ていて気持ちいい。けど、みんなで一緒に楽しもうとした時、「初心者」が置いてけぼりになりがちなのも事実。
その点、最近話題になってるのが、
- モルック
- ピックルボール
あたりの“マイナースポーツ”だ。
モルックってなんだ?ピックルボールってどう違う?
モルックはフィンランド発祥のスポーツで、木の棒を投げて、数字が書かれた木のピン(スキットル)を倒して得点を競う。ルールは超シンプル。運動神経よりも「狙い」と「チーム戦略」がポイントになる。
一方のピックルボールは、アメリカで大ブレイク中。テニスと卓球の中間のような感じで、比較的小さめのコートでプレイするラケットスポーツ。ネットも低く、ラケットも扱いやすいから、高齢者から子どもまで楽しめる。
しかもピックルボール、アメリカではすでに競技人口が2,000万人を超えてるって話。これはとんでもない数字だ。もはや「マイナー」とは呼べないレベル。
流行のキーワードは「誰でもできる」「経験値リセット」
今、求められているのは「誰がやっても楽しめる」「初めての人が勝っちゃうこともある」くらいの、いい意味で“ゆるさ”のある競技なんじゃないかと思う。
特に、会社や団体のレクリエーション、地域のイベント、フェスなんかでは、
- ハンデをつけなくてもみんなが楽しめる
- 初参加でも中心になれる
- 年齢・性別・体力に左右されにくい
みたいな条件を満たす競技がウケてる。これはもう確実な潮流。
ピックルボールが日本でバズる未来は、けっこうリアル
ピックルボールは、今後日本でも一気に広まる可能性があると思ってる。
理由はシンプルで、
- コートが狭い=体育館・公園・空きスペースでもできる
- 道具が安価で揃えやすい
- 初心者でも打ち返せる=楽しい
- 年齢問わずできる=イベントに使いやすい
という感じで、条件が全部揃ってるから。
しかも、これまでテニスやバドミントンやってた人たちが「セカンドスポーツ」としてハマるパターンも多いらしい。
地方の体育館や空きスペース、企業の福利厚生イベント、学校の授業…使い道はいくらでもある。
「次に流行るスポーツは?」という問いへの答え
ということで、今ならこう言える。
次に流行るのは、メジャースポーツじゃない。
“みんなが楽しめるマイナースポーツ”が主役になる時代が来てる。
・経験者だけが目立つスポーツじゃなくて
・初心者も勝てるかもしれない
・みんなで笑える、ちょっと変わった競技
そんなスポーツが、これからの日本に必要とされていくと思う。
ピックルボールやモルックは、まさにその象徴。
これからのスポーツシーン、楽しみしかない!



